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生活新聞1981 - 2006

1981年から2006年まで、社内資料として発行されていた「生活新聞」の概要を掲載しています。「生活新聞」とは、生活者の日常を研究員が独自の視点で洞察・研究し、社会生活から日常生活のディテールまで、様々な手法を用いて生活に迫った研究レポートです。

  • クレオパトラ不安

    1983年調査年報「不安−女の時代の光と影」と同様の質問項目について、10年ぶりに調査を行い、その変化を探った。結果をみると、幸せ感が大幅に高まった一方で、不安感も同様に高まった。特に不安感が大幅にアップしたのは、社会への貢献など「一人の人間として」の側面と「女性としての魅力」を失うことへの不安(クレオパトラ不安)だった。10年で不安の質も量も変化した。

    1993/11/30
  • 感覚機能
    ピン感覚時代の新・機能主義

    モノの機能を合理性で測って消費をする時代から、機能性を素直に感覚で捉え直して受け入れる「感覚機能」を重視する時代へ。この方向性を企業に対して生活者が抱くイメージ調査から明らかにした。結果をみると1992年調査年報「五感の構造」で指摘したように、企業に対する評価にも、ピンとくるこないといった最も生理に近い判断基準である感覚軸の重要性が浮かびあがった。

    1993/11/17
  • ぐるぐる君の代理石

    人々の欲求は、「したいことがある→制約があってできない→代わりに別のコトで心を満たす→でも、“代わり”だから物足りない→やっぱりはじめのことがしたい」とループするものである。この『ぐるぐる君』状態の時に、大事なのは、欲求実現の代替行為としての「代理石」である。「圧縮石」「楽転石」「ガス抜き石」「苦行石」の4つの代理石があることが、調査から明らかになった。

    1993/10/26
  • 大台前の「ヤク年市場」
    人生階段説

    人生には、30代、40代と呼ぶように年代という大きな階段がある。それを迎える直前のこころが揺れ動く年齢を、28歳、29歳、38歳、39歳の末桁の「8(ヤ)」と「9(ク)」から、『ヤク年』と命名した。ヤク年には、まだまだこれからと考え直す「ヒトハナ派」、どうにでもなれと思う「アラクレ派」、ヤク年をバネにして頑張る「イドミ派」など、年代を超えた共通点が明らかになった。

    1993/09/30
  • キャノピー・パーク
    亜自然の生態学

    キャノピーとは「天蓋」。室内型海浜リゾートや屋台村など、本来オープンエアである場を空に蓋をした形で提供するアミューズメント施設の取材レポート。ブームになっている要因は、自然なのに清潔で安全といった「亜自然」性にある。また、都市で働き、パークでリフレッシュし食事へ向かうといったアーバンとサバーバンの懸け橋的存在になりうることを予測。

    1993/08/31
  • ジョーレン(常連)化社会への道
    イチゲンさんとジョーレンさん

    知らない人どうしが初めて出会うイチゲン社会。旧知の人となじみの人がいつものように出会うジョーレン社会。新しい出会いをありがたがる途上国的な喜びから、成熟した大人の豊かさを求めるジョーレン化社会へ日本が進むことを予測。都市計画における成熟街の開発を提案するとともに、業態別にジョーレン率を尋ねた調査結果から買物行動の未来を提言している。

    1993/07/30
  • 格やぶり
    エンジニアリング消費の時代

    バブル崩壊後2000日を経た生活者。その新たな消費のコンセプトを探ったレポート。人々は自らの出費を再編しマネジメントするエンジニアリング消費に目覚めていることを提言。その戦略は、商品の4つの格の取捨選択にある。場格・価格・品格・人格。これらを欲求に基づき格上げしたり格下げしたりしながらバランスを取る「格やぶり」消費が進むことを予測している。

    1993/06/30
  • 調査年報1993紹介号 高シングル社会
    未婚者・既婚者の<シングル性>調査

    調査年報1993年版の内容を紹介した号。着実に増え続けるシングル族、晩婚化社会の心理を解明すべく25〜39歳に行った意識調査の結果をダイジェスト。自由・自立・自閉を望む心(シングル性)が、未婚者は元より既婚者にも蔓延していることを分析。シングル度の高い層は、他人に不干渉で、モデルにとらわれず、浮き草的に生きるといった特徴が明らかにされている。

    1993/06/23
  • 買い物速度

    百貨店の食品売り場で買物客を観察しその速度を計測したレポート。買物速度には、作業性の高い「特急コース」からレジャー性の高い「鈍行コース」まで4段階があることを発見。観察対象51人の平均買物時間は17分で「急行コース」が最も多かった。買物にシビアになったこと、また買物を楽しむ精神的余裕がでてきたことから、買い物時間が長くなっていることを指摘。

    1993/05/17
  • 未来血液型
    500人が描いた21世紀シナリオ

    首都圏500人に、分野ごとの「21世紀シナリオ」を提示。「最もありうると思う」シナリオを選んでもらった。結果からは、二つの未来像が表れた。アメニティの「A型未来」とバイタリティある「V型未来」だ。そして、家族のあり方は「個人充実志向」が57%とトップ。また、住まいは「地方都市志向」が支持率1位(31%)。そして老後は「夫婦リゾート志向」。

    1993/04/20
  • 流行ウィルス感染症とツベルクリン診断

    街の流行感染度を知るために「もつ鍋」「カラオケボックス」「クレーンゲーム」の3種のウイルスの感染状態を調べた。渋谷、新宿、六本木など9カ所総計1300余棟のビルの地下から最上階まで全フロア実地踏査。3ウイルスに感染しているビル率を算出した。診断の結果、約3割の建物が感染している新宿は陽性、感染率2%の銀座は陰性など、各々の街の性格が判定されてある。

    1993/03/31
  • 「34分の1で生きていきたい」
    サイレント・アピールという新しい青年の主張

    若者たちの自己主張、自己表現を調査し、その背後にある価値観の変化を探ったレポート。アンケートによれば「口数の少ない主張」「無抵抗・不服従」など、若者の主張はサイレントなものになっている。しかし、彼らは孤立した存在ではなく、友達の数が多い(10代平均34人)ことにも注目し、この群れの中で生きてゆくために突出しない主張をとっていると分析。

    1993/03/10
  • 酒族社会の変貌
    対決「ムッシュ族」vs「ノミ族」

    人々をお酒を飲む層(ノミ族)と飲まない層(ムッシュ族)に分け意識の違いを探った。ノミ族のイメージは「面白い・情にあつい・ギャンブル好き」。ムッシュ族は「融通きかない・ケチ・冷たい」印象。またノミとムッシュが酒場で口論している絵を提示し、二人のふき出しに言葉を入れてもらう調査を実施──「飲めないのを看板にするな」「飲んでくだ巻くな」。

    1993/02/20
  • 正月の新聞雑誌定点観測1993
    トリ直し

    正月の新聞雑誌定点観測レポート。新聞記事の見出し語トップは「アメリカ」、雑誌は「女」であった。各紙の論調には、これまでの反省から一歩進んで、国内の政治経済の体制を改革し、新たな価値観を持って、豊かさを見つめ直そうという提案が目立った。93年の世相を酉年にちなんで、新原点を求める「トリ直し」の一年とネーミングした。

    1993/01/25
  • 生活予報1993紹介号 新・商品分類学 欲望の再編成

    生活予報93の紹介号。景気の下降を受けて生活者は縮こまっているように見えるが、実はひそかに欲望を組み直している。生活者の欲望を軸に、商品分類とシステムの改編を行うことで、新たな消費市場が見えてくることを提言。その展開を「楽市楽座」「裁時場」「活力発電所」など空想百貨店(新業態や商品アイデア)として具体的に提示している。

    1993/01/20
  • 初春号外
    皇太子ご結婚の2M効果

    93年、新年早々、盛り上がったニュース。皇太子のご結婚が、どんな影響を与えるか、緊急調査(街頭面接300サンプル)を実施した。結果「気持ちが明るくなった」人が79%、「ご結婚が消費を元気づけると思う」人が62%と、マインド効果が見られた。また「高い教育、外国語、留学への関心が高まると思う」人が81%。マサコさんのライフスタイル効果もあるようだ。

    1993/01/19
  • ウィンナー・コーヒーな君たち
    高校生探訪

    高校生たちの心の中を探るべく、グループ・インタビュー、アンケート、日記調査を実施。「勉強もファストフードで。家より集中できるから」「すごく時間が欲しい!でも、25時間あったら寝てるカナ」「植物になって光合成してみたーい」…高校生の日常を切り取った生の声が満載。彼ら、彼女らは、表面が冷たくて、中は熱い。ウインナコーヒーのような存在だ。

    1992/12/20
  • 反動夢を使いましょう
    世の中の危険から身を守る

    生活定点調査の92年の結果を見ると、身の回りの感情として「夢、希望」が上昇し「不安」を抜きトップになっている。本号では、景気低迷の中、なぜ、夢を思う気運が高まっているのかを分析。調査によれば「世の中が暗い時ほど夢は明るくなる」という回答が47%と約半数に達しており、状況が厳しい時ほどバランスを取るため夢への反動力が強まると提言している。

    1992/11/20
  • 「自分を、買いたい」
    人がココロに向かう理由

    心理カウンセリングを受ける人や自己啓発セミナーを受講する人が増えている。ココロに強い関心を持ち、自分探しにお金を投じる生活者の内面を分析した号。調査結果から、人が心へ向かう理由は「嫉妬・迷い・理解されない不安」。自己開発に関心のあるサラリーマンは39%、主婦は44%。自分らしさを肯定したい、悟り願望がマインドビジネスを活発化させる。

    1992/10/20
  • 号外
    生活定点1992紹介号 ポストバブルの生活意識。
    豊かさの見直しが始まっている。

    生活定点92年版の速報。ポストバブルの時代の生活者の意識を表現すると、「バビブベボ」となる。バブルショックで、幸せ感にかげり。ビンボー気分で、ニュープア層が拡大。ブランド離れが進み、商品へのこだわりが低下。ベターライフは、金より時間のゆとりに重きをおく。余暇と交際に関する生活分野で、ボリューム(ライフボリューム)が大きく増大した。

    1992/10/15
  • イントねーちゃん弁
    世代方言と地域方言

    「かれし」「パーティ」など若い女性の抑揚のないイントネーションに注目した新聞。世代の訛りである「イントねーちゃん弁」に加え、マスコミ等で使われる平坦な発音も「業界方言」であるとし、限定集団だけで使用される新・方言が見直される時代であることを提言。また、沖縄言葉(ウチナーグチ)による音楽・映画といった地域方言も元気であることをレポート。

    1992/09/20
  • 縁切り道具
    嫁入り道具もあるのだから、別れる時だって

    嫁入り道具とは逆に、別れる時に持って出る家財道具を調査。主婦200人に、42のモノを提示し「もし、離婚となったら、ご自分と夫のどちらが引き取りたがると思いますか」を尋ねている。両方が引き取りたがるモノの第1位は「預金通帳」で、子供よりも高い回答率。妻も夫も引き取りたがらないモノは「二人のベッド」「夫がくれたラブレター」と思い出の品であった。

    1992/08/20
  • おっぱいを見せる理由

    女性のヌードに対する考え方と、恥ずかしい感覚を調査したレポート。恋人におっぱいを見られるのは恥ずかしいと答えた若者女子は48%、夫におっぱいを見られるのが恥ずかしい主婦は31%。自分のヌード写真を撮ってみたいという若者女子は14%であった。社会における「おっぱい」の価値が、ひわいな存在から、芸術対象に変わってきた時代の変遷を分析している。

    1992/07/20
  • 号外
    調査年報1992紹介号 ピン消費
    「五感の構造」発刊記念号

    調査年報92の紹介号。80年代は、「好き嫌い」を軸とした感性が消費行動の上で注目された。しかし、『バブル型消費』という経験によって、識別能力が高まり、消費者たちは、より生理に近い感覚的な判断、「ピンとくる、こない」で動きだしている。これが、「ピン消費」である。その他、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚についての実験や調査の一部を紹介。

    1992/06/23
  • 不可価値観

    欲しい、したいといった欲求とは逆に、何を持たないか、何をしないかという負のこだわりから人の個性を把握しようと試みた号。「嫌い」「持たない」「やらない」「許せない」といったネガティブ・ワードだけで自己紹介をしてもらうアンケート調査を実施。固辞というアピールにも、人の価値観は表れることを発見。またこれは、企業広告にも応用できることを示唆。

    1992/06/20